なぜ「野立て太陽光」を選ばないのか? — 駐車場からはじめる、本当のサステナブル戦略
公開日:
最終更新日: 2025年09月20日 土曜日

駐車場を“エコな屋根”に変える新しい選択肢
最近、北海道の釧路湿原周辺で計画されたメガソーラーが、貴重な自然環境への影響を懸念する声を受け、行政から工事中止勧告を受けるなど大きな社会問題となっています。
再生可能エネルギーはもちろん重要です。しかし、そのために広大な森林を伐採し、美しい景観を損ない、地域との摩擦を生んでしまっては、企業の社会的責任(CSR)を果たしているとはいえません。
一方、商業施設やオフィスに併設された駐車場を活用するソーラーカーポートは、駐車場の上にパネルを設置するだけで「発電所」と「屋根」という二つの役割を果たせるため、都市部の企業にとって非常に現実的な選択肢となっています。
また、ソーラーカーポートは既存の商業施設やオフィスなどの駐車場に設置するため、新たな土地を切り開く必要がありません。これにより、自然破壊を防ぐだけでなく、開発に伴う莫大な工事費も削減できるという大きなメリットがあります。
さらに、導入は環境に良いだけでなく、企業経営にも直接的なメリットをもたらします。
光熱費の削減: 発電した電力を施設内で利用することで、大幅な電気代削減が期待できます。
顧客満足度の向上: 夏の強い日差しや雨から車を守ることで、来店客に快適な駐車環境を提供します。これにより、顧客のリピート率や駐車場の利用率アップにも繋がります。
企業のイメージアップ:再生可能エネルギーの活用は、SDGsや脱炭素経営への積極的な取り組みとして、企業のブランドイメージ向上に貢献します。
善意の『再エネ導入』が社会問題に

再生可能エネルギーの導入は、今や企業の責務となっています。しかし、その進め方を間違えると、かえって企業価値を損なう事態を招きかねません。
最近、北海道の釧路湿原周辺で計画されたメガソーラー(大規模太陽光発電所)が、その典型例として大きな社会問題となりました。貴重な自然環境や天然記念物への影響を懸念する声が高まり、行政から工事中止勧告が出されるに至ったのです。
この事例が浮き彫りにしたのは、従来の「野立て型」太陽光発電が抱える構造的な課題です。
- ・森林伐採による自然破壊
- ・大規模な造成に伴う土砂災害リスク
- ・美しい景観の損失
- ・地域住民との合意形成の失敗
「環境のために環境を壊す」という矛盾が起きているのです。これは、決して北海道だけの話ではありません。千葉県だと、メガソーラー(大規模太陽光発電所)計画は、鴨川市田原地区の山林を大規模に伐採し約37万本の樹木を伐採、約47万枚のパネルを設置し出力は100メガワットクラスの大規模な太陽光発電所の計画が進んでいるからです。
だからこそ、ソーラーカーポートは、自社の敷地内でクリーンなエネルギーと新たな付加価値を生み出すものとなっているのです。
関東圏での導入事例
ここからは、環境省の資料をもとに実際のソーラーカーポートの導入事例をご紹介していきます。
【事例1】千葉県八街市 ケーヨーデイツー 八街店(商業施設)

導入設備、事業の効果 | |
---|---|
発電容量 | 太陽光パネル出力 234kW パワコン出力 210kW |
設置タイプ | 太陽光発電一体型(駐車場82台分) |
電力使途 | 全量自家消費 |
事業費 | (非公表) |
事業開始 | 2021年12月 |
再エネ消費比率 | 事業実施前:0% 事業実施後:54% |
CO2削減効果 | 147t-CO2 /年 |
施設のCO2削減率 | 42% |
その他(特筆事項等)
同社が運営するホームセンター「ケーヨーデイツー八街店」敷地内の駐車場の一部に、当社が発電事業者(PPA事業者)となってソーラーカーポートを設置した。
発電した電力利用に加え新たにカーポートが設置できたため、お客様の駐車場利用の利便性の向上に役立っている。
また、停電時の同施設の事業継続性の向上とともに、再生可能エネルギーを活用した地域大型流通拠点のモデルケースとして、災害時における地域インフラ整備に寄与している。
ソーラーカーポート事業に取り組むきっかけ(下記3点の実現に努める)
①平時における温室効果ガス排出の抑制
②カーポート設置による、雨天時などの駐車場利用の利便性向上
③災害等の非常時において必要最低限な店舗運営が可能なエネルギーの供給(BCP対策の一環)
事業実施に当たって特に注意した点
災害等の非常時の店舗営業では、パワーコンディショナーをPOSシステム用コンセント及び非常用コンセントとして活用する設計としている。
課題と工夫点
前方に支柱のない「片持ち」施工で駐車のしやすいカーポート施工を実現した。当該事業により、同社他店舗で当該スキームの水平展開が期待できる。
【事例2】栃木県那須郡 那須ハイランドパークお客様駐車場

導入設備、事業の効果 | |
---|---|
発電容量 | 太陽光パネル出力 476kW パワコン出力 449kW |
設置タイプ | 一体型(駐車場128台分) |
電力使途 | 那須ハイランドパークにて100%自家消費 |
事業費 | 総事業費:12,160万円 (うち補助額:4,047万円 補助率:1/3) |
事業開始 | 2024年4月 |
再エネ消費比率 | 事業実施前:0% 事業実施後:33.95% |
CO2削減効果 | 285t-CO2/年 |
施設のCO2削減率 | 26.53%(削減量 972.34t-CO2/年) |
本事業の特徴等
・本事業では広大なお客様駐車場の土地を活用したソーラーカーポートを設置することによるグリーンな電力供給と自家消費によって遊園地を運営することで、地産地消の循環型の持続可能な地域づくりを目指す。
・本事業で効果が見込めれば、よりスケールアップを狙い将来的には完全な脱炭素化と循環型の体制を目指す。また、地元の自治体である那須町とも災害連携協定を連結しており、災害時には自家発電と自家消費による安全
・ 快適な避難所の環境を提供することを目指す。
ソーラーカーポート事業に取り組むきっかけ
那須ハイランドパークは環境負荷低減を目指して「那須グリーンハイランド構 想」を掲げ、間伐材を活用したバイオマス発電・発熱による、宿泊事業におけ る電気と熱の自家供給を実現した。本事業においては、お客様駐車場を活 用したソーラーカーポートを設置することによりグリーンな電力供給と自家消費 によって遊園地を運営し、地産地消の循環型の持続可能な地域づくりに貢献しようと考えた。
課題と工夫点
カーポート架台設置の際に地面より巨岩が多数発見され、工期が大幅に遅延した。工事の人員増加により対応した。
事業者の声
今回の知見を活かし、当社グループ会社が運営する他のテーマパーク等にも ソーラーカーポートを導入し、グループ全体でのCO2削減、再エネ化を進
【事例3】茨城県つくば市 万博記念つくば先端事業所

導入設備、事業の効果 | |
---|---|
発電容量 | 太陽光パネル出力 854kW パワコン出力 800kW |
設置タイプ | 太陽光発電一体型(駐車場:256台分)) |
電力使途 | 那須ハイランドパークにて100%自家消費 |
事業費 | 総事業費:12,160万円 (うち補助額:4,047万円 補助率:1/3) |
事業開始 | 2024年4月 |
再エネ消費比率 | 事業実施前:0% 事業実施後:33.95% |
CO2削減効果 | 285t-CO2/年 |
施設のCO2削減率 | 26.53%(削減量 972.34t-CO2/年) |
ソーラーカーポート事業に取り組むきっかけ
万博記念つくば先端事業所では、ゼロエミッションを目指した工場運営を行っており、その具体的取組の一つとして、自家消費型太陽光システム導入による再エネの普及拡大に取り組んでおり、その一環として実施した。
事業実施に当たって特に注意した点
ソーラーカーポートから変電設備まで距離があることから、発電した電力を工場内バスダクトに接続して自家消費するシステムの新規導入を行った。
課題と工夫点
2023年度には蓄電池も導入し、行政とも連携して災害時にも太陽光発電システムを活用し、防災活動にも役立てることを検討している。
副次的効果
ソーラーカーポートは屋上設置に比べて直接目視できるため、社内従業員の意識向上や社外利用者への再エネの取組の発信につながった。 今後、本導入事業について自社配信のメールマガジンやグループ情報誌等を通じてPRし、事業の波及性を高めていきたい。
※引用元:環境省「ソーラーカーポートの導入事例集(2023年3月作成・2025年3月更新版)」
ソーラーカーポートがもたらす、6つのメリット

事例からも分かるように、ソーラーカーポートは単なる発電設備ではなく、多機能なインフラとしての役割を担っています。
1. 【土地開発ゼロ】景観と調和し、資産価値を高める
再生可能エネルギーの導入で最も大きな課題となるのが「用地確保」です。
特にここ千葉県を含む関東圏では、新たな土地を開発することはコスト面だけでなく、自然保護や景観条例といった観点からも容易ではありません。
ソーラーカーポートは、既存の駐車場という“未開拓の資産”を最大限に活用します。山林を切り開く必要がなく、景観を損なわないため、地域社会との軋轢を生むリスクを回避できます。
2. 【顧客満足度向上】選ばれる施設になるための付加価値
夏の炎天下、駐車していた車内は灼熱地獄と化します。雨の日には、小さなお子様連れやご高齢のお客様は乗り降りだけでも一苦労です。
カーポートがもたらす日陰や雨を防ぐ効果は、お客様や従業員が直接肌で感じられる「おもてなし」です。この快適な駐車環境は、施設の滞在時間を延ばし、再来訪を促す要因となります。「あそこは駐車場が快適だから」そうした評判が、競争の激しい市場で「選ばれる施設」になるための武器となるのです。

3. 【財務改善】高騰する電気代をコストから資産へ
高騰を続ける電気料金は、コントロールの難しい経営コストです。
ソーラーカーポートによる自家消費は、電力会社からの購入量を削減し、このコストを抑制させます。これは単なる経費削減に留まらず、将来のエネルギー価格の変動に対する強力なリスクヘッジとなります。「不安定なコスト」を「自家製エネルギー」に変えることで、より精度の高い事業計画と安定したキャッシュフローを実現します。
4. 【事業継続計画】災害時に地域を支える「独立したライフライン」
台風や地震による大規模停電は、千葉県でいうと2019年の房総半島台風を彷彿とさせます。
電力網が寸断された際、事業を継続できるか否かが企業の明暗を分けます。自立運転機能付きのパワーコンディショナーを組み合わせることで、ソーラーカーポートは非常用電源として機能し、最低限の事業活動(POSレジ、通信、照明など)を維持します。
これは自社を守るだけでなく、災害時に地域住民のスマートフォンを充電したり、情報を提供したりする「地域の防災拠点」としての役割も担うことになり、企業への信頼を深めます。

5. 【投資効率の最大化】国の支援を賢く導入
国や自治体は、企業の再エネ導入を強力に後押ししており、手厚い補助金制度が用意されています。これらの制度を最大限に活用すれば、初期投資の負担を最大1/3程度まで軽減することが可能です。これにより、投資回収期間が大幅に短縮され、事業としての採算性が格段に向上します。
ただし、補助金の申請の手続きは、基本的に事業者に委ねられることが多く、要項も複雑で公募期間も限られるため、専門業者のサポートが不可欠です。
6. 【企業価値向上】SDGsと脱炭素経営を、目に見える形でアピール
企業の環境への取り組みは、今や投資家、取引先、そして未来の従業員からも厳しく評価される時代です。
ソーラーカーポートは、「真剣にサステナビリティに取り組んでいる」という経営姿勢を、巨大な看板のように、誰の目にも明らかな形で示すことができます。サプライチェーンからの脱炭素要請に応え、ESG経営をアピールすることで、企業のブランドイメージと社会的信用を高めます。
このように、ソーラーカーポートは多様なメリットを同時に実現します。
特に、私たちシスコムネットが拠点を置く千葉県をはじめ、スペースが限られる関東の都市圏において、「駐車場をそのまま発電所に変えられる」という点は、最大の強みといえるでしょう。
施工から補助金申請までお任せください

シスコムネットは、ソーラーカーポートの施工から太陽光発電、蓄電池の施工、各種補助金申請まで、トータルでサポートしています。千葉や東京、神奈川をはじめとする都市圏では、既存の空間を有効活用できるソーラーカーポートが最適な選択肢になるでしょう。
弊社は、地域の特性を熟知したプロとして、お客様一人ひとりの経営課題(コスト削減・BCP・企業価値向上)に寄り添い、設計から複雑な補助金申請、施工、アフターサポートまでをワンストップで行います。
まずは「無料シミュレーション」
貴社の駐車場がどれだけのクリーンなエネルギーを生み、年間でどれほどのコスト削減に繋がるのか、具体的な数字でご確認いただける無料シミュレーションから始めてみませんか?
下記のフォームより、お気軽にお問い合わせください。