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P型とN型太陽光パネルの違いとは?

公開日: 最終更新日: 2024年07月20日 土曜日

太陽光パネルは、私たちの日常生活におけるクリーンエネルギーの主要な供給源となりつつあります。その中でも、P型とN型という2つの主要なタイプの太陽光パネルがあります。この記事では、太陽光発電の専門家としての知見を活かし、P型とN型の技術的な違い、最新の市場動向、そして専門家ならではの視点からそれぞれの利点、欠点を説明し選び方のポイントを解説します。

P型とN型の基礎概念

そもそもP型・N型とは、結晶シリコン太陽電池モジュールのセルを構成する半導体の種別を指します。製造する段階で、不純物(ホウ素やリンなど)を意図的に添加し、混ぜることで、電気を通しやすくします。

P型はホウ素N型はリンを添加したもので、半導体の性質と構造から、負電荷を持つ「N型半導体」は(ネガティブ)の頭文字を取り「N型」、正電荷を持つ「P型半導体」は、Positive(ポジティブ)の頭文字を取り「P型」と呼ばれています。</b

まとめるとP型とN型は以下のような性質を持っています。

N型: 主にリンを添加したシリコンを使用。自由電子が過剰な状態(N型半導体)になります。
P型: 主にホウ素を添加したシリコンを使用。正孔(ホール)が過剰な状態(P型半導体)になります。

※正孔(ホール)とは、半導体内で電子が抜けた後にできる「正の電荷を持つ空席」のことです。P型半導体では、ホウ素の添加により正孔が多くなり、電流を運ぶ役割を果たします。

P型太陽光パネルの特性

P型太陽光パネルは、長い間市場の主流であり、特に家庭用や商業用の太陽光発電システムに広く使用されてきました。

N型と比べると自由電子が無い代わりに、正孔と呼ばれる電子が抜け出た穴が存在し、この穴に隣り合うプラス(+)の電子が自由電子のような役割をしています。

利点

低コスト: P型太陽電池は製造コストが低く、大量生産に向いています。初期投資が抑えられるため、コストパフォーマンスに優れています。
技術的成熟度: 長い歴史があり、技術的な成熟度が高いため、信頼性があります。

欠点

効率の限界: P型セルの変換効率の向上には限界があり、近年ではその限界に近づいています。
温度特性: 高温環境下では効率が低下しやすく、N型セルに比べてパフォーマンスが劣ります。
LID(光誘起劣化):太陽光にさらされることで、劣化や出力低下(LID)が起こりやすい傾向があります

N型太陽光パネルの特性

N型セルは、既に高い発電効率を発揮していたP型セルの、さらにその上を行く変換効率が期待できる製品として登場しました。
N型セルには多数の自由電子が含まれており、自由電子に電圧をかけるとスムーズに移動して電流を起こすため、P型よりも高い電気伝導率を誇ります。

利点

高効率: 変換効率が高く、同じ面積のパネルでより多くの電力を生成できます。
低照度発電: P型セルでは発電できないような低照度でも発電が可能です。
高温時の性能維持: 高温環境でも性能が維持されやすく、発電量の低下が少ないです。
長寿命: P型と比べて劣化が少なく長寿命です。

欠点

費用が高い: 製造コストが高く、導入費用が高いです。

2024年最新市場動向

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N型がシェアを拡大、TOPConが主流へ

2024年現在、N型太陽光パネルは市場シェアを拡大しており、特にTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)技術を用いたN型パネルが主流になりつつあります。
TOPConは、N型の中でも変換効率が高く、製造コストも抑えられるため、今後の普及が期待されています。
N型太陽光パネルのTOPConは非常に優れた技術ですが、HJT(ヘテロ接合技術)やIBC(インターデジテーテッド・バックコンタクト)といった他のN型技術もTOPConと同等、もしくはそれ以上の性能を持つ可能性を秘めています。
ただし、現段階では変換効率だけでなくコストや耐久性などの複雑さなどで様々な問題を抱えていますので、しばらくはTOPConが主流になっていくと思われます。

N型とP型太陽光パネル、どっちを選ぶべき?

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予算重視ならP型

安価で確立された技術だが、変換効率が19%~22%程度で寿命は一般的には20年~25年程度となります。屋根面積が広く太陽光パネルが影にかかりにくい立地の場合は、P型パネルでも十分な発電量が見込むことができます

長期視点ならN型

変換効率が21%~24%程で耐久性は30年以上といわれ長寿命、LIDの影響を受けにくいです。
ただし、その分、初期費用は少し高めとなっています。太陽光パネルの設置面が大きく取れず、高温や影などが気になる方は、設置面積が少なくとも発電効率の高いN型がおすすめです。

今後はN型がP型と同じような価格で導入することができるようになるのであればN型が主流になる流れになっていくことでしょう。
選ぶ際は、予算だけでなく、変換効率、寿命、LID、屋根の面積や保証内容なども考慮しましょう。

まとめ

N型とP型の太陽光パネルは、それぞれ異なる利点と欠点を持っています。

P型太陽光パネルは、低コストで広く普及しており、標準的な用途に適しています。特に初期投資を抑えたい場合や、信頼性のある技術を求める場合に適しています。

一方、N型太陽光パネルは、初期コストは高いものの、高効率で長寿命のため、特に高性能が求められる用途に適しています。長期的な投資を考える場合や、限られたスペースで最大の発電量を求める場合に有効です。

太陽光パネルの選択においては、これらの違いを理解し、自分のニーズに最も適したパネルを選ぶことが重要です。技術の進歩により、両者のギャップは徐々に縮まってきており、将来的にはさらなる性能向上が期待されています。クリーンエネルギーの利用を最大限に活用するために、N型とP型の太陽光パネルの特性をしっかりと把握しておきましょう。

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