スターリンクって本当に使える?特徴や設置方法をわかりやすく解説
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最終更新日: 2025年03月29日 土曜日

スターリンク(Starlink)は、スペースX(SpaceX)が提供する衛星インターネットサービスで、従来のインターネット回線とは異なり、地球低軌道(LEO: Low Earth Orbit)に多数の小型衛星を配置し、そこから直接インターネットを提供するという仕組みを採用しています。
本記事では、スターリンクの仕組み・メリット・デメリット・料金・日本で使用する際の注意点について詳しく解説します。
スターリンクは、アメリカの宇宙開発企業SpaceXが構築する、多数の小型人工衛星群を利用した衛星ブロードバンドインターネットサービスです 。SpaceXは、電気自動車メーカーであるテスラ社のCEO、イーロン・マスク氏が率いる革新的な企業として知られています 。
スターリンクとは?

スペースXが開発した「低軌道衛星インターネット」
スターリンクの最大の特徴は、地球から約550km上空の低軌道にある衛星を使って通信を行うことです。
従来の衛星インターネットは、約35,786km上空の静止軌道(GEO: Geostationary Orbit)にある大型衛星を利用していました。
しかし、GEO衛星は地球の自転に合わせて静止しているため
・ 通信距離が長く、遅延(Ping)が大きい(数百ミリ秒)
・ データ通信速度が遅い(数Mbps~数十Mbps)
という欠点がありました。
一方、スターリンクは、
・ 550kmの低軌道に数千基の小型衛星を配置
・ 地上のアンテナと直接通信し、遅延を大幅に削減(約20~40ms)
・ 高速通信を実現
という特長を持っています。
スターリンクのメリット

山間部や離島でもインターネット接続が可能
スターリンクは地上の通信インフラに依存しないため、光回線などのネット回線が届かない地域でも利用可能です。日本の国土は多数の山々と山々と複雑な地形に覆われており、通信インフラの整備が難しい地域も多く存在しますが、これにより、地方の農村、山間部、離島、船舶、災害時の緊急通信手段として活躍します。
高速通信が可能
従来の衛星インターネットと比較して、理論上は最大540Mbpsになります。
Starlink公式サイトでは、右上のアイコンからマップを開くことで、各地域での通信速度を確認することができます。
日本全域では、2025年3月時点で下り速度189~302Mbps、上り速度20~38Mbps以上のダウンロード速度が出ることが確認できます。
遅延(Ping)が少ない
地球低軌道(LEO)の衛星を利用することで、遅延(Ping)が約20~40msと非常に低いです。
これは光回線に近いレベルの応答速度で、Zoom会議・オンラインゲーム・ライブ配信などにも適しています。
移動しながらの利用が可能
アンテナを設置できれば利用場所を選ばないため、船舶での利用や、トレーラーハウスやキャンピングカーなど車で移動後に利用することができます。
※現在は日本の陸地では移動中の使用は、法令により禁止されているため注意してください。

災害時でも通信手段を確保できる
スターリンクは、インターネット接続が困難な被災地でも、専用アンテナを設置することで通信が可能になります。これにより、地方自治体や緊急対応機関が迅速に情報を共有し、ライフラインの維持に貢献します。
実際に過去の災害では、スターリンクがいち早く導入され、救助活動や被災者の安否確認に活用された例があります。
例えば、2022年のトンガの火山噴火では国際支援の通信手段として、2024年の能登半島地震では被災地の通信インフラ支援としてその有用性が確認されています。自然災害が頻発する日本において、スターリンクは非常時の通信手段として大きな可能性を持っています。

設置が簡単
・アンテナを設置
・Wi-Fiルーターを接続
・アプリで設定を完了
以上の3ステップで使用が可能です。
設置はシンプルで、特別な工事も不要。基本的な手順としては、まずスターリンクキットを準備し、アンテナを空が開けた場所に設置、Wi-Fiルーターと接続した後、スマートフォンアプリでセットアップを行うだけです。
アンテナの設置場所は、障害物が少なく、上空が広く開けた屋根の上や庭、ベランダが最適です。スターリンクのアプリを活用すれば、設置場所の適性を簡単にチェックできるため、スムーズに作業が進められます。
アンテナとルーターを接続し、電源を入れると、自動的に衛星との通信が開始され、数分から15分程度でインターネットが利用できるようになります。
スターリンクのデメリット
料金が高い
スターリンクの利用には、2025年3月現在以下の初期費用(アンテナ購入)と月額料金がかかります。(個人利用の場合)
レジデンシャルプラン | ROAMプラン |
---|---|
主な機能 | |
データ無制限
固定配置 |
全国でサービス提供中 移動中の利用 海外での利用 沿岸でのサービス提供 サービスの一時停止 |
レジデンシャルLite ¥4,600/月 | ROAM - 50GB ¥6,500/月 |
レジデンシャル ¥6,600/月 | ROAM無制限 ¥11,500/月 |
スターリンクは何度か料金改定を行なっており、アメリカの企業ということもあるので、最新の金額は公式サイトで情報を確認することを推奨します。
光回線(5,000円前後/月)と比べると、初期費用含め、かなり高額なので、普段使いにはコストがかかるのがネックですが、レジデンシャルプランは、2022年12月に12,300円から11,100円に値下げ、翌1月には更に6,600円に値下げされてますので、今後の使用状況次第では更なる値下げがあるかもしれません。
また、災害時のバックアップ・船舶・移動しながらの利用などでは十分な価値があります。

天候や障害物の影響を受けやすい
スターリンクの通信は、上空の衛星との間で通信を行うため、アンテナと衛星の間に障害物(建物・木)や雨・雪・強風の影響を受けやすく、通信速度が低下する場合があるため、安定性では光回線に劣ります。
ジッター値が高い
色んな地域や回線での速度測定の結果が載っている「みんなのネット回線速度」というサイトで見てもらうとわかりやすいのですが、光回線などと比べてジッター値と呼ばれる値が大きい傾向にあります。
これは、インターネット通信の安定性を示す値なのですが、これが高いとラグの発生したり、パケロスの原因となります。動画視聴などは問題なく行えそうですが、ライブ配信やオンライン会議などでは映像や音が飛んでしまったりする可能性があります。
設置場所の確保が必要
・障害物(建物・木・電柱)が少ない場所
・屋根の上や庭など、広いスペース
が必要になります。アンテナが自動で向きを変えながら衛星を探すので空は全く遮るものがないのが理想となりますので、ベランダや高い建物が密集している地域では使用が難しい可能性があります。
設置希望場所に設置できるかは、専用アプリから確認することができますので購入を検討している方は事前にご確認ください。
iosアプリ
Androidアプリ
屋根に設置を行う場合、「標準パイプアダプターマウント」や「標準ウォールマウント」など取り付け位置に合わせた部品やアンテナ工事業者による作業費用もかかることに注意する必要がありそうです。
日本でスターリンクを使用する際の注意点

法規制
スターリンクの通信機器は日本の技術基準適合証明を取得済みのため、日本国内での使用は問題ありません。
ただし、starlinkルーターは屋外で使用する場合、ルーターの設定を『屋外モード』に変更する必要がありますので注意が必要です。starlinkアプリから変更することでその地域での規制に遵守した形で設定が変更されます。
また、starlink miniでは、『屋外モード』がデフォルトで設定されていますので設定変更の必要はありません。
補助金制度が適用される場合も
日本国内の一部自治体では、「地域インターネット環境整備補助金」などが適用されることがあり、導入コストを抑えられる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ:スターリンクはどんな人におすすめ?
スターリンクが向いている
・光回線が使えない地域に住んでいる人(山間部・離島・農村)
・海上やキャンピングカーなどでインターネットを使いたい人
・災害時のバックアップ回線として導入を考えている企業・自治体
・高速&低遅延の通信環境が必要な人
・新しいものが好きな人
スターリンクが向いていない
・都市部に住んでおり、光回線が利用できる人(コスパ的に光回線の方が有利)
・悪天候による通信品質の変化が気になる人
最後に
スターリンクは、地球低軌道の衛星を活用した新しいインターネットの形であり、従来の回線が届かない場所でも高速通信が可能な革新的な技術ですが、自宅が光回線対応エリア内であれば価格面、回線速度、安定性などにおいてスターリンクをメイン回線として運用するのは難しいでしょう。
ただし、大規模なイベントでは、どのキャリアでも携帯電話が繋がりずらくなりますが『FUJI ROCK FESTIVAL』や『ROCK IN JAPAN』では、スターリンクのWi-Fiを導入することで快適にネットが利用できた例もあり、『輻輳』が起きやすいような環境であれば、大いに力を発揮することができそうです。
料金や天候の影響などのデメリットもあるため、用途に合わせて慎重に導入を検討するのがおすすめです。
最新のスターリンク情報や申し込みについては、公式サイトをチェック!
🔗 Starlink公式サイト