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蓄電池はどこにでも設置できる?設置に向いてる場所・向いてない場所とは?

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FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の売電単価が23年度は10kW未満で16円/kWhと以前に比べてどんどん安くなっています。元々は、卒FITの家庭で8円程度になってしまう売電単価、停電対策などのために蓄電池を検討する方が多かったのですが、最近では、太陽光導入と同時に蓄電池の導入を検討される方の問い合わせが増えています。

そんな蓄電池ですがどんな場所に設置できるかご存知ですか?

基本的に、太陽光発電とは違い直射日光が当たりにくい北面、庇(ひさし)や軒(のき)がある東面・西面が推奨され、南面への設置は難しいとされています。日光以外にも設置条件がいくつかありますので条件と理由をお話します。

なぜ蓄電池の問い合わせが増えているのか?

なぜ蓄電池の問い合わせが増えているのでしょうか?
卒FITを理由とした問い合わせにプラスして、昨今の電気代高騰を受けて更にその勢いは増しているように感じます。東京電力の電力プランであるスマートライフプランで日中に電気を使うと1kWhあたり35.96円、従量電灯Bでも36.6円かかります。

太陽光発電を設置しているご家庭からすれば家の電気を『りんご』だとすると、あなたが1個16円で売っている『りんご』を1個36円で同じ『りんご』を買い戻しているようなものです。日中なら発電した電気を自家消費できますが、蓄電池がなければ夜間はその高い電気を買うしかありません。

そのため、売電単価が安くなってしまった分の電気を家で使いたいから蓄電池を検討しているというかたと、電気代が高騰している今、蓄電池を導入したらどうなるの?というかたからの問い合わせが増えているのです。

蓄電池はなにでできている?

蓄電池はどのようなもので構成されているかご存じでしょうか?ご存じな方もいるかと思いますが、蓄電池は多数のリチウムイオン電池によって構成されています。また、リン酸鉄リチウムイオン、三元系リチウムイオンなど細かくいえばまた種類がありますが、ここではひとまず置いておいて、

リチウムイオンとは皆さん持っているであろうスマートフォンやノートパソコンなど、コンセントに接続しなくても使用できるものに使われていることが多いです。これを多数集めることによって大容量の蓄電池として構成されています。

推奨される設置場所

設置場所

さてそんな蓄電池ですが、設置するにはいくつかの条件があります。

蓄電池は可燃物に該当するため、推奨されていない場所に設置すると、最悪の場合、火災の原因となる可能性があります。安全に使えば、電気代を下げる、停電時でも電気を使うことができます。暮らしを助ける蓄電池なのでしっかりとした場所に設置することが重要です。

直射日光があまり当たらない場所

リチウムイオン電池の特性として0℃~35℃が推奨温度とされています。直射日光が長時間当たる場合、蓄電池本体が外気温より高くなる場合があります。

そのためメーカーの推奨としては北面設置が最も適しており、次点で東・西面も適しています。南面の場合は、屋根があり日陰になるなど条件次第では設置できますが、メーカーでは推奨されていませんので、設置場所は北面設置優先で東・西面で設置できそうな場所を選択すると良いでしょう。

設置に適さない場所

高温・低温の場所へ設置

高温注意

上記の通り、リチウムイオン電池は0℃~35℃までが推奨温度となっております。大半の方がお持ちであろうスマートフォン『iPhone』も同じく動作温度が 0°C 〜 35°Cとされています。0℃以下になる寒い場所に行ったときに、ほとんど使用していないのにスマートフォンの電池がかなり減っていたり、いつのまにか電池がなくなっていた経験はありませんか?

蓄電池も同じく、寒い環境下では蓄電池の充電容量が低下し、電力供給も制限されることがあります。また、高温の場合は蓄電池の寿命が縮むとともに、最悪の場合は発火の可能性があります。

最近、弊社で多くお問い合わせをいただく『テスラ家庭用蓄電池Powerwall』は、動作温度は–20°C 〜 50°C、推奨温度は0°C 〜 30°Cとなっています。また、スペース次第で室内に設置する事例もありますので、設置場所につきましては一度ご相談ください。

お問い合わせ

塩害・重塩害地域

塩害地域

塩害地域というものをご存知でしょうか?海岸から2km以内を塩害地域、200m~500m以内を重塩害地域と呼びます。機械製品全般に言えることですが中の基板が錆びてしまうので、塩害による腐食に弱いです。また、エコキュートやエアコンなどは塩害仕様のものが存在していますが、塩害仕様の蓄電池は数が限られます。希望の蓄電池がある場合、塩害仕様に対応していない可能性があるので注意が必要です。

高湿の場所

リチウムイオン電池は高温・低温もそうですが高湿にも強くありません。場合によっては内部が錆びて発火し、その結果バッテリーが爆発する可能性があります。高温・低温もそうですが、高湿になりやすい場所への設置は除湿をするか、避けるのがよいでしょう。

水はけの悪いところ

水はけの悪い

大雨や水害などがあった場合、周囲から水が流れ込み蓄電池本体に浸水する場合があります。浸水すると漏電の危険があり、感電する恐れがあるためとても危険です。

普段から雨水が溜まりやすいと感じており、あらかじめ状況がわかっている場合には蓄電池本体の高さを上げる、雨水桝を追加して対応する、他の場所に設置できないか検討するなどの対策が必要です。

ガス給湯器の近く

ガス給湯器

可燃物が近くにある場合、排気口および本体からの離隔距離が定められています。可燃物に蓄電池も該当しますので設置基準は以下の通りです。

◯給湯器の排気口との離隔距離
・排気口から上方に30cm
・排気口から下方に15cm
・前方は60cm(不燃物は30cm)

◯ガス給湯器本体との離隔距離
・上方・前方に15cm
・側面に15cm
・後方は1cm

となっています。
隣に設置することはできませんが、スペースをあければ設置することが可能です。
まずは、別の場所で設置することができるか確認し、難しいようであれば、必要な離隔距離を確保して設置することが必要となるでしょう。

蓄電池と消防法の関係

消防署

消防署への設置届が必要となる対象となる蓄電池は?

ハイブリッド車やノートパソコンなどに身近な製品にも使用されるリチウムイオン電池ですが、蓄電池は消防法や火災予防条例によって規制される電気設備です。

以前は、同じ場所に設置してある蓄電池の容量が4,800Ah・セル以上となる場合、消防法によって規制されることになり、設置住所の管轄消防署に設置届の提出が必須となっていましたが、2023年5月31日、総務省消防庁において蓄電池設置に関する省令等が改正、交付されました。

Ah・セルというわかりにくい単位からkWhという、蓄電池を調べたことがある人ならば目にするようなわかりやすい単位に変更となりました。20kWh超の場合は届け出が必要、20kWh以下は不要というように変わっています。
単体で20kWhを超える蓄電池は一般家庭用ではありませんので、複数台設置している場合に該当する可能性が高くなっています。また、改正した消防法の施行は2024年1月1日となってます。

4,800Ah・セルって具体的にどのくらいの容量?

表記上どの蓄電池が該当するの?っていうのがわかりにくい4,800Ah・セルですが従来どのくらいの容量だったのでしょうか?リチウムイオンバッテリーの公称電圧は3.7Vなので

V×Ah=Wh
3.7(V)×4800(Ah)=17,760(Wh) となりますので 17.76kWhとなります。

改正になった法令では20kWh超なので若干緩和されています。国内で販売されている家庭用蓄電池の最大容量はニチコンのESS-U2X、ESS-U4X1の16.6kWhですが、この緩和により20kWh前後の容量の蓄電池が発売されるかもしれませんね。
関連資料:総務省消防庁資料

まとめ

蓄電池の設置場所として、屋外では給湯設備が近くにない北面、または東面か西面、屋内では高温・高湿ではない直射日光が当たらない場所が推奨となっております。 ただ、各メーカー創意工夫をして様々な状況で対応できる商品を開発していますので、条件次第ですが南面や、塩害地域でも設置できる製品は存在しています。 見た目がいい、容量が大きいなど希望はさまざまだと思います。ただ、設置できる場所には様々な条件が存在しますので経験豊富な施工会社に相談し、お客様の暮らしと家や予算にあわせた選択をすることが重要でしょう。

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