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【解説】スマートデバイス(IOT製品)の統一規格「Matter」とは?

公開日: 最終更新日: 2024年02月10日 土曜日

毎日を過ごしていく中で、『自動で家中が掃除されたらいいな』、『自動で車が目的地まで運転してくれないかな』など日々の暮らしをちょっと楽にしたいと思ったことは誰しもあるのではないでしょうか?

マーベル映画である『アイアンマン』、『アヴェンジャーズ』に出てくるジャービスという人の活動をアシストする人工知能(AI)を知っていますか?朝、起床する時間に目覚ましとともにカーテンが自動で開き、今日の天気予報などの情報を伝えるたりすることを全部自動でできるっていいなぁと思ったことを覚えています。これは人工知能なのでスマートデバイスとは別物ではありますが…

私は、弊社シスコムネット千葉営業所のショールームである『syscomLAB』にてGoogle Homeを使用してLIXILの「Life Assist2」、Panasonicの「AiSEG2」の設定、自宅のAlexaを使用してスマートデバイスの設定を行ってきましたが、Google Nest(Google Home)やAlexa、IpadかAndroidタブレットのどれを使用するのかによって設定方法の違いで戸惑ったり、使用したいスマートデバイスがそれぞれに対応しているか確認しながらの作業でした。

ほかの機器との連動ともなると、IFTTT(イフト)と呼ばれる設定が必要であったり、Google Homeアプリでの設定も必要で、それゆえに敷居も高く、人によっては途中で諦めてしまうのかなと感じさせるほどでした。
そんな中「Matter」は従来のスマートデバイスの互換性や安全性を確保しつつ、より簡単に使用できるようにしていくことを目的とした規格となっております。

「Matter」ってなに?

Matter(マター)とは、CSA(Connectivety Standards Alliance)が策定しているスマートホームのデバイスが相互に通信できる新しい規格です。
Matterは、Google、Amazon、Apple、Zigbee Allianceなどの業界大手が設立した組織によって開発されました。Wi-Fi、Bluetooth、Threadなどの既存の接続方式に基づいており、IoTデバイスの相互運用性を改善し、スマートホームをより簡単かつ信頼性の高い方法で管理できるようにすることを目的としています。
つまりMatterとは、今までバラバラになってしまっていたものを一つに揃えることを目標として立ち上げられ、セットアップや管理をすべて同じようなインターフェイスを使用することでユーザビリティが上昇し、『興味はあるけど難しそうなもの』というレッテルを払拭することができるのではないかと期待されています。

なぜ「Matter」が必要なのだろうか?

iot_devicce

自宅でIOT機器を操作するのに、AmazonのEchoに搭載されている「Alexa(アレクサ)」、Googleが発売している旧Google Homeであり現在Google Nestが搭載している「Google Assistant」、IphoneやIpadで有名なAppleが発売しているApple Home Podが搭載している「Siri」、23年3月にサービスが終了してしまいましたが、LINEが発売していたCLOVA「CLOVA Assistant」などがあります。
これらはスマートスピーカーと呼ばれる機器で、私たちの呼びかけに対して応答してくれる製品ですが、近年ではIOT機器を操作するのに使用している人も増えてきているのではないでしょうか?

上記画像は一例としてスマートホームに対応したコーヒーメーカーです。
Works with alexaとありAlexaに対応していますということと、タイトルにGoogle Home対応とあります。使用したいスマートホームデバイスがこれらであれば問題ありませんが、AppleのHome Podを使用している場合はどうでしょう。
製品を調べて使っている人がいないか探してみたり、レビューを見て探してみないと使用できるかわからないですよね。これがスマートホームデバイスが統一で「Matter」に対応すると「Matter」と書いてあるだけで対応しているのか分かるので、都度確認をする必要がなくなります。

Matterの特徴

matter

CSAのHPには以下の4点が記載されています。
・Simplicity
・interoperability
・Reliability
・Security

Simplicity:簡潔さ

Easy to purchase and use.『簡単に手に入れることができてなお且つ使える』
「Matter」はデバイスのセットアップと操作を簡単にすることを目指しています。スマートフォンやタブレットからアプリを使用して簡単に設定することができます。また、複数のデバイスを一括で管理することができるので簡単に使うことができます。

interoperability:相互運用性

Devices from multiple brands work natively together.『様々なメーカーのデバイスを連携できる』
「Matter」は、さまざまなデバイスとの相互運用性を確保できるように設計されています。これによって異なるメーカーやプラットホームのデバイスが連携し、統合されたスマートホームシステムを構築することができます。

Reliability:信頼性

Consistent and responsive local connectivity.『一貫性のある、対応可能なローカルコネクティビティ』
インターネットが切断されたとしてもローカル接続が可能となっています。また、Matter対応のスマートデバイスがコントローラーとなり、クラウドを経由すること無く命令を出すことができます。

Security:安全性

Robust and streamlined for developers and users.『開発者と使用者のために堅牢で合理的な設計となっている』
堅牢なセキュリティのもと、開発者•使用者いずれも安心して利用することができるようになっています。また、通信はエンドツーエンドで暗号化されており、認証機構を備えているので安心。

考えられるメリット・デメリット・懸念点とは?

特徴で挙げられた項目のほかに、考えられるメリットはどのようなものがあるでしょう。また、現状考えうるデメリットも上げていきたいと思います。

メリット

CSA

多様なブランド・プロダクトの参加による信頼
Matterは、Google、Apple、Amazonなどの大手テクノロジーブランドをはじめ、多くのメーカーやプロダクトが参加しています。そのため、幅広い種類のスマートホームデバイスが対応しており、ユーザーの選択肢が増えます。また、Googleなどの大手メーカーが導入することにより、ほかのメーカーも導入せざるを得ないような形にはなるかもしれませんが、大手メーカーに引っ張られるようにして導入が進むのではないでしょうか

継続的なサポート
Matterは、標準化されたプラットフォームであるため、長期的なサポートが期待されます。また、幅広い業界の主要な会社に支持されており、将来的なアップデートや拡張にも対応していく予定なので安心して利用することができます。

既存デバイスへの対応
ソフトウェアアップデートを介して既存のスマートホームデバイスに対応できるよう作られているので、対応商品に買い換えをする必要がありません。前からデバイスを使っていた人も安心です。ただし、デバイスメーカーがアップデートすることになるので、対応時期などはバラバラだと思いますのでそれぞれ確認が必要です。

デバイス登録がQRコードで簡単に
今まではデバイスの専用アプリをインストールし、デバイスのWi-Fiに接続してから自宅のWi-Fiとの接続のセットアップを行い設定完了してから、Google HomeアプリやAlexaアプリから設定を行うようになっています。MatterであればQRコードを読み込んでから、各々使用しているGoogle Home、Amazon Alexaなどのアプリを選択して各デバイスを登録するかたちとなっています。機器の登録が簡単に行えることにより、IoTを導入する敷居をまず1つ下げることができるのではないのでしょうか。

デメリット

既存デバイスへの対応
こちらはメリットでも上げていますが、デメリットもあると考えています。アップデートで対応できるということは、そこには時間と人件費などのコストがかかることを意味しています。
メーカーによってすべて対応するのかしないのか、はたまた発売した時期で限定して対応するのかなど、対応が分かれる可能性もありデバイスをすでに所有している方は注意が必要だと思います。
※NanoleafのLightstripは旧モデルのMatterへの対応アップグレードはせず、新モデルから対応させるようです。

デバイスの価格上昇の可能性
IoTデバイスを世の中に出すにあたり、従来BluetoothやWi-Fi、ZigBeeなどそれぞれ通信規格の団体の会員となる必要があり、また、それぞれに年会費および登録費がかかります。
Matter対応製品であっても同じように上記規格の団体に加入する必要があり、なおかつ、新しくMatterの団体の加入と登録費が必要となります。つまり、今までより開発に必要なコストは上昇する可能性はあるのでないかと考えられます。

現状、対応デバイスが限られている
2023年6月現在、Matterをサポートするデバイスは限られています。
今後アップデートで対応される予定とのことですが、Matter1.0ではスマートカメラが対応の対象外となっています。ただ、CSAの公式サイトにMatter準拠製品の一覧があり、もちろん日本では販売していないデバイスも含まれていますが、世界各国でどんどん追加されていますのでそう遠くない未来には解消されるのではないかと考えています。

懸念点

操作の制限の可能性
今まで設定などを行っていて感じたことなのですが、専用のアプリだとリモコンとあまり変わらずに操作でき、Amazon Alexaアプリ(スキル)などから操作しようとすると必要最低限の部分しか操作できないようなことがありました。これはMatterというより別の問題な気もしますが、こういった部分も解決するのかな?という懸念と期待が入り混じっています。

競合の別プロトコルの出現
元々、様々な規格が出来ては増えてを繰り返してきました。Matterのほかに、今後標準化を目指す規格が現れる可能性もゼロではないと思います。そうなると結局のところ規格が増え、Matter、〇〇対応のような形になってしまい、結局標準規格とは…という風にならないかという懸念があります。

今後の期待

2023年になってMatter1.1がリリースされました。これから年2回程度のアップデートを目標に行っていくと発表されています。今後スマートデバイスの導入を検討する上でより簡単に使用することができ、そして使用する人の生活を便利にして行けるものとなることが、Matter普及に拍車をかけるものになるのではないかと思っています。

まとめ

まだ始まったばかりの新規格「Matter」ではありますが、参画企業の知名度もあり今後の展開を期待させるものになっていると思います。
朝日が昇るとともに、カーテンが自動で開き、今日の天気予報を伝えてくれて、リビングに行くとテレビ、照明が付き音楽を再生してコーヒーを淹れる。日中はお掃除ロボットが掃除をして、日没前にカーテンが閉まり、帰宅前に部屋を適温にして、風呂を沸かし、帰宅時に家の鍵が開いて照明がつき、寝るときには照明が自動で消える。
これは今のスマートデバイスでも実現可能な内容となっていますが、1日を通した複数のスマートデバイスを使用した複数のルーティーンを、今よりもっと簡単に設定から構築まで行えるようなものになっていけば、と期待するばかりです。

さて弊社、シスコムネット千葉営業所では、併設するショールームである『syscomLAB』で自動化を体感することができる仮想リビングがございます。そこではGoogle Homeをスマートスピーカーとして、LIXIL『Life Assist2』を使用したスマートデバイスを体感できるようになっています。『OK,Google おはよう』と声をかけると照明が点灯して、シャッターが開くなど自動化されたスマートデバイスを体感することができます。
まだ買う気はないけど見てみたいという方でも、自宅に導入を検討しているんだけどアドバイスがほしいなどご興味がある方は、下記お問い合わせよりご連絡いただければ対応させていただきますのでぜひお気軽にご連絡ください。

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