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LANケーブルはCat5eで十分?Cat6Aの必要性とは?

公開日: 最終更新日: 2024年10月08日 火曜日

日本の光回線世帯カバー率が2020年3月末で99.1%となっていて、日本全国どこにいても快適にインターネットを使用できる時代になっています。
現在の主流は1ギガの光回線になっていますが、eスポーツの流行や4K・8Kなどの大容量コンテンツが充実することにより、今後は更に早く、強い回線が求められています。

光回線業者各社も、近年では2ギガ、5ギガ、10ギガのプランまで出すようになり、今後は1ギガ対応の現在の主流であるCat5eではなく、10ギガまで対応しているCat6Aが必要になってきます。今回は既存のLANケーブルとの比較や違いなどをお話ししたいと思います。

なぜCat.6Aなのか

2003年、日本で家庭用の光回線が登場しインターネットの速度が1Gbpsという驚きの通信速度で当時かなりの話題を呼びました。それから約20年経過して1ギガの光回線は日本のどこに住んでいても使用できるようになりました。

その20年の中でYouTubeやNetflixなど の動画配信サービスやInstagramなどのSNS、そしてeスポーツと呼ばれるゲームの普及によって一人が扱うデータの量は大きく増加しました。
普段の生活でも光回線なのに遅いな?と感じたことがある方も少なくないのではないでしょうか?

1ギガのインターネット回線の対応であれば現在最も普及しているCat.5eのケーブルで対応できます。ただ、それ以上の速度のインターネット回線ではLANケーブルがネックになってしまうからです。

GIGAスクール構想での標準規定

GIGAスクール構想とは、2019年12月に文部科学省が発表した教育改善案の事でGIGAはインターネットの速度のギガとは関係なく、『Global and Innovation Gateway for All』の略です。
生徒1人に1台の学習者用端末とクラス全員が一度にアクセスしても利用可能な通信環境の整備を目的としたものになっています。多数の生徒が同時にインターネットへ接続する場合、安定した高速のネットワークが必要不可欠です。それらを踏まえLANケーブルは従来のCat.5eではなくより伝達速度の速いCat.6Aを利用するよう指定されました。

1ギガ以上の速度のプランが出始めたこと

個人向け(月額100$未満)において世界最速インターネットを謳っているNURO光の20ギガをはじめ、フレッツ光、auひかり、ドコモ光、ソフトバンク光、enひかりが10ギガの回線の提供、その他2ギガ、5ギガの回線提供している事業者も続々と増えています。
今は1ギガで十分でも、今後回線を変更したときのことを考えてあらかじめCat.6Aのケーブルにしておくことで「1ギガ以上の回線にしても早くならない」という事態を避けることができます。

Wi-Fiはすでに10ギガ対応しています!

2019年9月に取り扱いがスタートした規格で『Wi-Fi6』があります。これは省電力化、同時接続数が増えても快適に使用でき、セキュリティ面の強化など様々な恩恵があるものですが、さらに最大通信速度が9.6Gbpsに達するようになりました。

2020年に開始した携帯の通信規格である『5G』は下り最大20Gbpsと大容量の通信を高速で行うことが可能となっていて、今後標準化の流れとなっていきます。同じデータ通信を担うものであるLANケーブルも後れを取らないよう10ギガまで対応することのできるcat.6Aにしておくとよいでしょう。

ちなみに2022年9月に『Wi-Fi6E』という最新の規格も出ています。EExtend(拡張)で最大通信速度は9.6Gbpsと変わりありませんが、以前まで法律により使用することが出来なかった6GHz帯を使用することが可能となったので更に快適な通信環境に期待することが出来ます。

各メーカーの違い

今やすっかりWi-Fiが主流となってしまっていますが、今でも安定した通信速度が必要とされているサーバーやゲーミングPCなどには有線LANで接続されています。

LANケーブルにはプラグが90度直角に曲がっているもの、線が細いスリムタイプや平べったいフラットタイプなど用途に合わせたものがありますが、線自体にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか?現在普及している3つの規格でそれぞれ違いを見ていきたいと思います。

通信速度

まずそもそも、今使ってるLANケーブルのカテゴリがいくつなのか分からない方もいるのではないでしょうか?LANケーブルは見た目が同じように見えていても違いがあって、通常ケーブルの途中に文字が書いてあります。ケーブルのカテゴリや配線規格名などの情報が表示されています。

カテゴリ 5e 6 6A
配線規格名 ANSI/TIA/EIA-568-B.2 ANSI/TIA/EIA-568-B.2-1 ANSI/TIA-568-B.2-10
通信速度 1Gbps 1Gbps 10Gbps

5eと6という表記なら同じ1Gbpsまでの対応で、6Aなら10Gbpsまでに対応しています。万が一、5なら100Mbpsなので早急に交換することをオススメします。

伝送帯域(バンド幅)

伝送帯域って通信速度と何が違うのか分からないけど、数字が大きい方が良いんだよねぐらいで認識している方も多いと思います。よく道路や川で例えられることがありますが、通信速度が川に流れる水の速さで伝送帯域はその川の広さ(幅)というのが分かりやすいのではないでしょうか。それぞれ下記のようになっています。

カテゴリ 5e 6 6A
伝送帯域 100MHz 250MHz 500MHz

通信速度では同じだった5eと6でもここでは各々違いがあります。
筆者は最近ケーブルを交換する機会があったので試してみましたが、正直、明確に伝送帯域の差を感じることはできませんでしたが、今後の不安要素を一つ取り除けたという点では大きかったように思います。性能差はあるので少しでもインターネットを快適にしたい方はcat.6か6Aにしておくとよいでしょう。

コネクタの形状は?線の内容などの違い

見た目は同じだがコネクタやケーブルの中は同じなのでしょうか?コネクタは全てRJ-45と呼ばれる形状のコネクタを使用していますので5e、6、6A使用できるものは一緒となっています。厳密に言うと6と6Aは違いがありますがコネクタの形状は同じなので、ここでは同形状とさせていただきます。
ケーブルの中身に関しては、5eには無くて6、6Aには入っているものとして線の真ん中にプラスチックの部品(十字介在) があります。これはケーブル自体のねじれ防止やケーブルが近くて起こる干渉ノイズや伝送信号の漏れを防止するために入っています。

そのほかに6Aにだけ選択肢があるものとしてSTPケーブルと呼ばれるものがあります。これは中のペアケーブルにシールドの加工がされている、ノイズや電磁波に非常に強い種類の中のケーブルです。
ただし、シールドにたまるノイズをきちんとしたアース処理をしておかないと、逆にノイズの発生源となってしまい悪影響を及ぼしますので、STPケーブルは一般家庭ではほとんど使われず、シールドの加工がないUTPケーブルが一般的には使用されるでしょう。

施工しておくべきタイミング

近年ではインターネット環境が必須となり、新築を建てる際に各部屋にLAN端子を用意する場合も多いかと思います。しかし、「無線LANで接続するから必要ない」と用意しなかったけれど、実際には思ったより電波が届かず、結局有線LANで「廊下や階段の端を這わせて配線している」というケースも多いのではないでしょうか?

モールやスリムケーブルなどを使用すればそこそこ綺麗に仕上がりますが、かなりの労力がかかりますし、隠蔽することはできません。
どうしても配線を見せたくない場合には工事業者にLANの端子増設を依頼するしかないのですが、建築前の住宅ならともかく既築の場合だと構造上難しくなります。
このようにあとから後悔しないためには、どのタイミングで施工しておくのがよいのでしょうか?

家を建てるとき

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最もベストなタイミングは家を建てるときです。建築前の打ち合わせでリビング、ダイニングや書斎などの主要な部屋にLAN端子がほしい旨を伝えておくとよいでしょう。
今は必要ないと思っている方も、ケーブルは配線しなくても空配管(配線を通すための壁の中の配管)を設けておけば、必要になったときに配線を表に出さず、壁の中に通すことができますのでオススメです。

リフォームのとき

自分で見栄えよく配線しようとしても、やはりDIYでは作業が難しかったり、場合によっては電気工事士などの資格が必要でやってはいけない場合があります。
そんなときはリフォームのタイミングで一緒にプロに頼むのが一番です。リフォームというとキッチンを交換したりトイレを新しくしたりと住宅の設備更新が目立ちますが、そこには必ずと言っていいほど電気工事も行われています。事前に一緒に相談し、増設してもらいましょう。

無線LANに限界を感じたときに

現在は大人だけではなく子どもも学校や塾でタブレットを使用したり、Switchなどのゲームをするのにもインターネット回線を使用する機会が増えています。
ルーターの仕様にもよりますが、接続している機器の数が増えればルーターの処理能力超過などの理由で無線LANは途切れやすくなってしまいます。いち早く工事して有線LANで接続できるようにすることで、解決できるでしょう。

まとめ

今回はLANケーブルをCat.6Aにしておく必要性とそのタイミングに関してお話ししました。機器の更新は容易ですがケーブルの更新は容易ではなく耐用年数も10年以上と長いため、Cat.6Aにしておくことで今後おそらく20年以上にわたり交換の必要もなく実用に耐えうるのではないでしょうか?
次回は6Aよりもさらに新しい規格、『Cat.7Cat.8』と呼ばれるLANケーブルについてお話します。

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